「死を以て。君と君の生涯を、ここに証明しよう」
【名前】I.D.Photo(アイザック・ディア・フォト)
【年齢】38 【性別】男
【所属】マジェスティ・オブ・ディストラクション(M.O.D)
【性格】
通称「ID(アイディー)」。一人称は僕、私。二人称は君、あなた。単独行動が多く会話が苦手なように思われるが、表情豊かで意外と口数が多い。
夢とか絆とか、ふいに感情的な言葉を使うが、本人はあまり感情的な方ではない。自己主張はせず、淡々とすべきことをこなし、考え事に耽っている。
大抵の話に聞く耳を持つし、物静かに頷いて丁寧に返事をするから、話をしやすい相手かもしれない。ただ……あなたもこの世界に足を踏み入れた仲間なのならば心配には及ばないだろうが、もしあなたが一般的な感性を持つなら、彼とは話が通じないだろう。
少なくとも、人殺しに美学や独自の論理を抱く者と通じ合うべきではない。
【容姿】
────灰色の男だ。出で立ちはどこか、なめくじや青魚に似ている。あとは石畳で干涸らびた蚯蚓や、巣を張らないイエグモ……とろ火のついたキャンドル!
赤茶けて少しシミのあるような、ずいぶん古臭いスーツに身を包んだ白髪混じりの中年。
襟の高いシャツ、深緑のベスト、ベージュのパンツと革のブーツ。
太い眉、ボサボサの黒髪、右目の下には黒子。灰色の瞳はギョロリとして、虹彩が幾重にも連なったような奇怪な左目と深いクマがどこか不気味に映る。
シルエットは細くない。180cmと背も高い方だが、髪型や服装からどうしてもだらしない印象がするため、パッと見てそう威圧的には見えない。
組織に所属している証として黒いスカーフを巻いている。
【持ち物】
・スクラップブック(アルバム)
新聞の切り抜き等の他、この時代に珍しく写真が複数枚入っており、かなり分厚い。いつも肌見放さず持ち歩き大切にしているようだが、覗いても面白いものはない。
・レミントン・デリンジャー
隠し持つには最適な小型銃。装弾数は2発。
・折り畳みナイフ
通常のナイフより強度は劣るはずだが、どうしても見える位置に武器を携帯したくないらしい。
・拘束具
金属製。魂の底まであなたを見通すためのもの。
【能力】《霊魂の証明》-Proof of Soul-
────〝魂〟がなんなのか知りたい? さあ、きっと彼も知らない。ただ彼はこの能力を介して見えたものが、いわゆる霊魂であると仮定しているだけだ……そうだったならいいな、という期待も含めて!
彼の奇怪な左目で視認した生物の〝魂〟を認識し、奪取する能力。後天性。
視界に収めることで対象の〝魂〟の一欠片を掠め取り、保管しておくことができる。この際、〝魂〟はその持ち主の顔を写したモノクロ写真のようになり、実体を持つ(彼はよくこの写真を〝霊魂の肖像〟と呼ぶ)。
この能力における〝魂〟は生命、こと肉体と強い結び付きがあるものと推察される。
完全に〝魂〟すべてを肉体から切り離すには対象が死亡している必要があるが、長時間注視することで(最低1ロルから、確実に注視したという描写があった場合のみ)さらに魂を奪い取ることが可能。彼に〝魂〟を奪われ続けると、少しずつ体の制御が利かなくなり、うまく動けなくなっていく。
写真を破れば奪った対象の〝魂〟は返還されるが、その際奪われた〝魂〟の割合が多ければ多いほど、破られた対象の体に物理的な傷がつく。
(2ロル以上でちょっとした切り傷、5ロル以上で深い損傷、10ロルを超えると内臓まで損傷しかねない大怪我。)
〝魂〟は目に見えない。故に一目見た隙に〝魂〟を一欠片奪われた程度なら、あなたはその事に気付くことすらできない。
しかし注視されている間なら話は別だ。〝魂〟を奪われる感覚と言うのはどうも怖気が走って良い心地はしない。だから一定以上奪われれば(注視され始めて1ロル目から)すぐ気付けるだろう。
『私の能力の本質は〝被写体の死期を把握できる〟ことにある。死因は問わない。寿命死でも、事故死でも、爆死でも良い。死が近づけば、写真は古ぼけ、褪せていく』──I.D.Photo
自分の顔映りが気になるって? それは無理な相談だ、IDは実際の景色を写真に収めているわけではないから。
あなたの本質を写した証明……それが彼の能力。
写真の複製も無理! いくら君からたくさんの〝魂〟を奪っても、写真の枚数が1枚から増えることにはならない。その代わり、だんだんと動き出すのだ。目を離した隙に表情が変わったり、声が聞こえたり……しまいには写真の中で生活し始めたりして? ともかく多くの〝魂〟が込められた写真は、次第に対象を記録した映像のようになる。
写真に映る者の死期が近付いた時、写真はだんだんと色褪せていく。
彼のアルバムにセピア色の写真があったなら、見ない方がいい。死して尚アルバムの中に囚われた憐れな魂に興味があると言うなら、話は別だが……大して面白いものでもないからね。
【過去】
紆余曲折を経て彼はギャングに身を置き、ホープダイヤモンドをはじめとした宝を巡る抗争に明け暮れているが、元はブルジョアの出身であり、不幸でも惨めでもないし、大した苦労もしていない。1つ下の妻と家庭を築き、8つになる娘がいた。
IDが入団の儀式で殺したのはその妻子である。彼が入団したのはここ1、2年のことだが、これはつい最近とも言えるだろう。
自ら過去について語る機会は今までなかったし、これからもない。ただ彼の言動からひとつだけわかることは、そう。「IDは仲間を求めている」。
【備考】
強い好奇心と蒐集欲によって能力を発現しており、コレクター気質がある。
誕生日は6月1日。子供の頃は昆虫採集が好きで、よく蝶の標本を作っていたと語る。切手を集めようとした事もあるが、それはあまり続かなかったらしい。
宝物もそうだが、能力が発現してからはもっぱら、現像した魂をコレクションすることに夢中だ。ありとあらゆる人間から魂を少しずつ掠め取っては、褪せていく写真の人物に再び接触し、魂を丸ごと奪い取る機会を狙っている。
写真の撮影も好きだ、能力でなくとも。大体彼だって、何の変哲もない写真が、魂を切り取る呪いのフィルムなんかよりずっと価値があることをわかっている。
《イメージソング》
▕▙▒▒ - ▖▖░▟▗▕▔▜ / FILEIN
?si=KA4mvV6lVmZYzCWe
〝何か悪いことをしてしまっただろうか。ただ夢を見ていただけなのに。〟
【SV】
「僕のことは、アイ、ディーと。そう呼んでくれたらいい。普通よりは覚えやすいかと思って……どうだろう?」
「殺しの仕事はあまり好きじゃない。せっかく集めた写真を破り捨てるのは未だに慣れないから……けれど済ませてしまえば素晴らしいコレクションが増えるから、頑張れるんだ」
「いつか君に、とっておきを見せてあげようかな。夢だったんだよ、仲間に宝物を共有するのが……僕のささやかな願いを叶えるのに、協力してくれるかい?」
「うん。君の仲間になれて──光栄だよ」
(2月11日作成、3月25日追記・修正)